俗にハイトーンと呼ばれる高音域は、非常に高い演奏効果を発揮すると共に、失敗率も高い諸刃の剣です。ここでは金管吹きにとって、そんな特別な存在であるハイトーンをいかに扱うべきかを考察していきたいと思います。 ひとくくりにハイトーンと言っていますが、基本的な定義としては「奏者にとって音を外す確率が各段に高い音域」を指しているので、人によってハイトーンの音域は差があります。また、単純に高い音という意味でもハイトーンという言葉は用いますが、ここでいうハイトーンは前者の定義と考えて下さい。一応一般的な音域は「金管楽器の音域」で解説していますので参考にしてください。 高らかに鳴り響くハイトーンは、それだけで胸をすくような壮快感と興奮を感じさせてくれます。さらに観客が金管楽器のハイトーンの難しさを知っていれば、その客はさらにアクロバチックな技巧を聴いたときと同じような興奮を感じることでしょう。しかしその高い演奏効果の代償として、奏者は高いリスクを背負うことになります。いえ、むしろそれくらいアクロバチックだからこそ、聴衆を興奮させるのではないでしょうか。とはいえ効果とリスクが釣り合ってなければ、その譜面は奏者に吹いてもらえるはずもありません。 金管吹きが考える可能か不可能かの判断は主に2つです。まずその音が自分の演奏可能域にあること、もう一つはその音にたどり着くまでにその音を出せるだけのスタミナが残っているかということです。スタミナを温存させる方法については「発展編」で詳しく説明しています。うまくスタミナが残せそうな譜面に仕上げておけば、きっと奏者は快く吹いてくれることでしょう。 次に音を外しにくいハイトーンについて考察してみましょう。ただでさえ外しやすいハイトーン音域ですからこれは非常に重要です。まずは先ほども話した通り、疲れさせないことです。もう一つ重要なのが跳躍させないことです。ある場所で突然ハイトーンが1音だけ突出している状況などは十中八九外します。一番確実にハイトーンを当てられるのは上昇音形で最高音に向かう場合です。さらにそのフレーズの前に十分な休符があれば、当てる確率がかなり上がります。 またハイトーンを吹いた直後は極度に緊張させた筋肉がすぐには緩まず、急に下の方の音へ行くとコントロールが難しくなります。また奏者の気も緩みやすく、本人でも驚くほど音をよく外します。特にハイトーン直後の下降音形は非常に音を外しやすいので注意してください。ですからハイトーンを吹かせた後は1小節くらいの休みを挟むか、すぐに音を下げず、最高音の少し下の辺りの音域をしばらく演奏させるなどして、唇周りの筋肉を緩める時間を与えてあげてください。 |
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