金管楽器の音域
楽譜を書く上で忘れてはならないのは楽器の音域です。音域外の音を書かれても演奏はできませんから当然ですね。金管楽器には明確な音域の限界がなく、奏者の能力によってかなりのばらつきがあります。もちろん経験が長く、上手な人ほど音域が広いわけですが、その人が主にどの音域を担当してきたかなどにもよるので一概には言えません。 そのような理由から演奏可能音域を明確に示すのは難しいのですが、参考までに一般の楽器学等で論じられている音域を以下に示します。白抜きの音符で囲まれた音域は問題なく使用できる音域です。黒塗りの音符までは使用できますが、白抜き音符より外側は何らかの不都合がある音域です。それより外側に破線が描かれている楽器は、特に優れた奏者に演奏させるなど、場合によってはさらに外側の音域を用いることができますが、通常は用いないことを示しています。
トランペット
下の白抜き音符より低い音域は演奏にさほど困難はありませんが、音程、音色共にあまり良いものではありません。メロディがその音域まで到達してしまう場合はなるべく早々に他の楽器に渡してしまうのが得策です。上の白抜き音符より高い音域は個人差は大きいですが、一般に音をはずしやすく、疲れやすい音域です。多用は避けるべきでしょう。またCから上は非常に困難で、アマチュアでは演奏できる奏者がかなり限られてきてしまいます。特に優れた奏者を想定しない限り使うべきではありません。
トランペットは金管アンサンブルにおいてもやはり花形であり、また1stトランペットは音域的にどの楽器も代奏させることができません。それゆえに、どうしても吹かせっぱなしになってしまうことが多いので、せめて音域などではあまり無理をさせないようにしてあげましょう。
2ndトランペットは1stのおおよそ3度下くらいの音域を担当するのが一般的です。またあまり高音の得意でない奏者が演奏することが多いので、困難なハイトーン音域はなるべく用いないようにしましょう。
ホルン
ホルンは音域が非常に広く、様々な場面で便利に使うことができます。ホルン奏者には大別して上吹き、下吹きに分けられますが、金管アンサンブルでは他の楽器の音域との兼ね合いで、基本的には上吹きの音域を担当させるのが普通です。通常、上吹きは下の白抜き符から上の黒塗り音符までを音域とし、下吹きは下の黒塗り音符から上の白抜き音符までを音域としています。もちろん上吹きでも下吹きの音域が演奏できないわけではないので、用いてもそれほど問題はありませんが、音域が何度も跳躍するとそれだけ奏者が疲れてしまいます。なるべく一つの音域で吹かせてあげましょう。また楽器の構造上、上の白抜き音符より高い音域は他の楽器よりもはずしやすいと考えてください。特にDbやEなどはアマチュアならば当たる方が珍しいかもしれません。(^_^;)
下の黒塗り音符より低い音域は、その音域を普段から演奏している奏者にとってはさほど困難ではなく、演奏していない奏者にとっては音が出せないくらい難しい音域です。とはいえ低音が得意な奏者であっても、その音域はすばやく動いたりはできません。8分音符以上は避けたほうが無難でしょう。
トロンボーン
トロンボーンは基本的にトランペットの1オクターブ下と覚えておいておおよそ間違いありません。トロンボーンのハイトーンはきつい割にはあまり効果的でないので、無理して用いる必要はありません。むしろ低音域はチューバにはない堅さが魅力です。ですから音域としては2ndトランペットのオクターブ下くらいが良いかと思います。
ユーフォニウムの使用可能音域はトロンボーンとまったく同等です。ユーフォニウムのハイトーンはホルンにもない包み込むような豊かな響きに魅力がありますが、低音の響きではチューバに一歩譲るので、ユーフォニウム専用の譜面を書くときは少し高めの音域を使うと良いでしょう。チューバとオクターブでユニゾンを奏でるのもなかなか良い使い方です。
バストロンボーンは通常のトロンボーンと同じ管長ですが、より太い管を用いて作られており、低音が吹きやすく、また響きのあるものになっています。低音を吹きやすく作ってあるので、もちろんハイトーンは得意ではありません。高音は五線からはみ出ない程度が適当です。最低音はチューバに及びませんが、硬い響きの低音はチューバに代えられるものではありません。特に低音のフォルテの音色には素晴らしい迫力を感じます。
チューバ
実はこの楽器は何気なく音域が広いです。しかし奏者によって音域に差があり、さらに管の長さが4種類もあって、それぞれの管長で音域が違います。チューバにはBb管、C管、Eb管、F管の4種類があり、順番に管が短くなっていきます。日本ではBb管が最も一般的ですが、Eb管、C管を持つ人も多くいます。Eb、F管は5つ以上のバルブを持ち、最も長いBb管に劣らない低音域を実現していますが、管の元々長いBb管やC管はEb管やF管のような高音域を演奏するのは非常に困難になっています。しかしEb、F管のように管を多く継ぎ足して低音を得る楽器は機構上、どうしても低音の音程が悪くなってしまいます。これらすべての管で安全に使用できる音域が白抜き音符以内の音域です。特に上の白抜き音符以上の音域はEb、F管を想定しない限り使うべきではありません。もし特に楽器を想定しないのであれば、Bb管で演奏できる下の黒塗り音符から上の白抜き音符までの音域を用いましょう。
ちなみにチューバは普段から跳躍の多いベースラインを担当しているため、他の楽器に比べてオクターブの跳躍は得意です。
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